古代哲学会

The Society of Ancient Philosophy

 

古代哲学会規約

  1. 1.本会は古代哲学会と称し,本部を京都市左京区吉田本町 京都大学文学部西洋哲学史(古代)研究室におく。

  2. 2.本会は西洋古代哲学研究の進展と普及に努め,併せて会員相互の研究上の連絡と親睦を図ることを目的とする。

  3. 3.本会は西洋古代哲学の研究に従事もしくは関心を寄せる者で,本会の趣旨に賛同する者をもって構成される。

  4. 4.本会は以下の事業を行う。
    (ア)適宜,研究発表会・講演会を行う。
    (イ)年1回,研究誌『古代哲学研究』(METHODOS)を刊行し,会員に配あ布する。
    (ウ)その他本会の目的に適う行事。

  5. 5.本会に次の役員を置く。
    (ア)編集委員   3名
    (イ)編集事務委員 1名
    (ウ)会計委員   1名
    (エ)会計監査   1名

  6. 6.役員の任期は一年とし,再選は妨げない。

  7. 7.本会は毎年総会を開き,役員の改選と会計報告を行う。

  8. 8.会員は年額4,000円の会費を納める(但し大学院会員は3,000円,学生会員は2,000円とする。なお,定期購読料は年額2,000円)。

  9. 9.『古代哲学研究』への過去の執筆者を中心とする特別会員は,本会の維持のため年額1口8,000円の特別会費を納める。

 京都大学の西洋古代哲学研究室の者が相談し討議した結果,前からあった古代哲学談話会を母胎として,ここに『古代哲学研究』Methodosを刊行することとなった。
 西洋古代哲学の研究は,その対象,方法からいって,哲学プロパーと古典文献学との,両領域にまたがる性格をもっていて,現存する論文発表機関も,哲学としての専門誌か,哲・史・文を合わせた古典文献学としての専門誌かの,いずれかである。われわれとしては,このどちらにも積極的に参加して,それぞれの学問がもつルールの中で,自分を訓練することが望ましいのであるが,ただ正直にいって,前者への論文発表にあたってはあまりに「文献学的」になることを遠慮し,後者においてはあまりに「哲学的」になることを遠慮する気持が,無意識的にせよはたらくことは否定できないようである。もとより,根本においては,このような領域的区別があるはずはないけれども,しかし他方,古代哲学を専攻する者が,まさに古代哲学者として,自分の問題が自然に要求する形式に従い,自由にものが言える発表誌が別に一つあってもよいということもまた,事実であろう。
 古典語学的・文献学的な条件を厳格にみたしながら哲学を追求するということは,それほどなまやさしいことではない。やりがいのあることは事実であるが,刺戟と修練を欠くならば,ひとりよがりの怠惰な想念の中に低迷するようになること,必定なのである。他人の異なった考えに接してたえず自分の考えを吟味するディアロゴスの精神と,実際にペンを取って自分の考えを明確に表現する修練とは,われわれの道において,とりわけ必要であろう。
 プラトンは,書かれた文字を「ロゴスの形」と呼び,書かれたものがその人のすべてであるかどうかによって,文人と哲人とを区別した。しかしそのプラトンはまた,生涯の終わりまで,書くことに非常な力を傾注しつづけた人であった。まことに,考えることと書くこととはかぎりなく別の事柄であるという事実を思い知らされることに骨身をけずらぬものに,何で哲学をする資格があろうか。
 すべてこのような意味において,この雑誌には,既成の型を規準とした,論文として完成度に多少かけるところがあっても,たとえ一つでも明確な論点を提供するような論文であるならば,どしどし掲載して行くことにしたい。同時に,それに対する反論もまた,活発に寄せられることを期待している。
 雑誌の副題として選ばれた「メトドス」というギリシア語の,文字どおりの意味は,「探求の行程」ということである。われわれは,古代においてphilosophiaの道を切り開いた先人たちの思想と言葉に習熟しつつ,そして彼らと根本問題を共有しつつ,哲学そのものを追求しようと志している。この道ははるかに遠く,われわれの日々は,すべてきびしい探求の行程でなければならない。その行程の途次において,以上のような意味での共同探求(suzetesis)の場を提供することが,この雑誌の基本的な意図である。

創刊にあたって


藤澤令夫

第1号・1968年

 年々発行を重ねて、『古代哲学研究』Methodosは20号を迎えた。この節目にあたって、来し方をかえりみつつ一言記すことにする。
 20年前、日ごろの演習や研究会、提出されるレポートなどを通じて、我々の研究勉学集団としてのエネルギーの高まりと充溢が感じられるようになっていた。この雑誌はそうした機運の中から、自然に生まれるべくして生まれたといえるだろう。
 私の記録によると、1968年(昭和43年)6月27日、河原町の「明窓」という軽食喫茶店の二階に教室の一同22名が集まり、大学院生を中心的な担い手とする西洋古代哲学プロパーの研究誌を年刊で出すことを提案して賛同を得た、とある。誌名についても、その席でいろいろ案を出し合った結果、現在のように『古代哲学研究』Methodosとすることに決まった。さっそく編集にかかり、雑誌の体裁や、注を含めた本文の組み方などは内山勝利君を中心に考えてもらったと思うが、プラトンの「太陽」「線分」「洞窟」の三比喩討論を特集としたVol. I が出来上がって研究室に運び込まれたのが、その年の秋11月14日。翌日発送し、12月1日に京都大学の会議室で、掲載論文をめぐって古代哲学談話会が開催された。定年退官されて3年ごろの故田中美知太郎先生も参加して、活発な討論が行なわれた。こうしてMethodosは誕生し、第一歩をはじめたのである。
 翌1969年は大学動乱の年であり、私自身も教室のメンバーたちもその渦中に激しく巻き込まれたが、Methodosはこれにも堪えて、変わらぬ充実した内容のもとに刊行された。そのVo. II の中の私の文章(「上山春平氏への返信」)には、「目下大学に現出している常とは異なった事態に対処するための、おそらくは繁忙と中断によって特色づけられなければならぬ私の日常的時間」といった言葉が見られる。11月30日に発行されたこの号をめぐる古代哲学談話会も、翌年(1970年)の4月3日(楽友会館)まで持ち越されなければならなかった。
 この動乱以後、Methodosの発行は順調に継続されていくことになる。Vol. III(1970年)からは論文のほかに手分けをしてその年度の海外雑誌をコメントつきで紹介するコーナーを作り、以来、有益な情報提供として歓迎されてきた。また、1980年にCambridgeのM. F. Burnyeatが来日し、12月に神戸大学において、同氏の論文


  1. "Socrates and the Jury: Paradoxes in Plato's Distinction between Knowledge and True Belief", Proceedings of the Aristotelian Society, Supple. Vol. liv, 1980


と、それに対する私の批判的コメント("Dr. Burnyeat on Theaetetus 200E-201C")を中心に討論会が行なわれたが、この私の英文の原稿がMethodos Vol. XIII (1981)に掲載されたのに関心が寄せられて、Classical WorldおよびAncient Philosophy(いずれもPittsburgh)の両誌から毎号交換の申し入れがあり、継続して今日に至っている。そして、これがきっかけとなってVol. XVI(1984年)から、掲載論文の欧文サマリーが付せられることとなった。なお、Methodosにかかわる年間スケジュールは、1974年のVol. VI 以降、現在のように、雑誌の出来上がりが5月末ころ、談話会は7月上旬にイタリア会館で、というかたちに定着した。

 こうして、いつしか20年たった。この間、何ぶんにもギリシア語の多い難しい組版のため印刷費が高くなることもあって、財政面だけからみれば、毎年つねに危機の連続であった。これを突破しつつここまで来ることのできたのは、やはりそれを可能にするだけの推進力が、Methodosにあったからだといえるだろう。具体的には、創刊以来の執筆者(京大在籍者のほか九州大学、北海道大学など全国各地の大学の研究者も含まれる)をはじめとして、現在百数十名を数える会員と定期購読者が、この推進力に寄与している。私見によれば、最近の海外雑誌のギリシア哲学研究論文の水準は必ずしもそれほど高度とはいえず、これはと手応えのある論文に出会うのはむしろ稀であるが、本誌のこれまでの論文のなかには、こうした海外の水準を抜くものがいくつもあると確言できる。

 古代においてphilosophiaの道を切り開いた人々の言葉と思想への習熟に努めつつ、そして彼らと根本問題を共有しつつ、哲学そのものを追求していくきびしい「行程」(methodos)──その行程のための共同探求(suzetesis)の場となることが、このMethodosの基本的意図であると、創刊にあたって私は書いた(Vol. I, p.48)。20年間20号の継続という事実そのものによって、そのような共同探求の場としての、歴史と伝統と呼ばれてもよいものが、ささやかながらも確実に形成されえたといってよいだろう。これに支えられて、Methodosがつぎつぎと新たな活力の注入により、今後もその本来の「行程」を力づよく歩みつづけることを期待したい。

創刊20周年を迎えて


藤澤令夫

第20号・1988年

 2004年2月28日午前7時、藤澤令夫先生は78歳余の生涯を閉じられた。直接の原因は膿肺による呼吸不全だった。ご家族からうかがったところでは、先生は、最期に両手を挙げて、オールを一度二度と漕ぐような仕種をなさったそうだ。三高時代のボート部員にもどって、青春の光の中を天上へと漕ぎ昇っていったのだろうか。むろん、かつてそうだったように、クルーの中でも最も膂力が要求される三番か四番のオールを握っていたはずである。

− tên metoikêsin tên enthende ekeise eutuchê genesthai.
  *          *
 先生について語るべきことは多いし、思い出も尽きない。ここでは、先生によって創められ、支えられてきた『古代哲学研究(METHODOS)』にまつわることのみ、わずかに記すこととする。
 本誌の創刊のころの経緯については、先生ご自身が書かれた「創刊にあたって」や、第20号(1988年)記念の巻頭言として寄せられた文章に尽くされている。文中に「1968年(昭和43年)6月27日、河原町の「明窓」という軽食喫茶店の二階に教室の一同22名が集まり、大学院生を中心的な担い手とする西洋古代哲学プロパーの研究誌を出すことを提案して賛同を得た」とある。発端についての、この正確な記録は、先生が欠かさず付けていた日記の記載によるものである。
 当時は、今から見れば度しがたいほどに「政治の季節」だった。しかもこの時期の学生運動は、街頭から大学内部へと行動の目標を移しつつあった。先生も間もなくその渦中に引き入れられていくことになる。そんな中での会合には多少の反時代的な気分があった。先生にも、今だからこそ、というお考えが強かったと思われる。しかしそれ以上に、京大に着任して6年目、先生の下で学部から鍛えられた学生たちが大学院に進み、ようやく論文らしきものを作れるようになった、という感触を持っていただけたのかもしれない。「毎年の学年末レポートなどにもいいのがあって、一個所でも取り柄があるものは、そのままにしておくのは惜しいから」と言われていたし、「創刊にあたって」にも同様の旨が記されている。今日では一個の学会誌としての性格を鮮明にするに至った『古代哲学研究(METHODOS)』だが、これから先も本誌をつづけるからには、この当初の要件は叶えていかねばなるまい。−−先生の基準を満たす「取り柄」となれば「一個所」とて容易ではないだろうが。
 誌名を決めたのも「明窓」での会合の折だった。ちょうど『国家』の中心巻の演習がつづけられていたときだったせいか、『洞窟からの報告』などという提案もあって、ダーク・ホース的に少数ながら妙に熱烈な賛成者を集めていた。しかし「 METHODOS」という案ははじめから最有力で、おのずからそれに落ち着いた。なじみやすいギリシア語で「探究の行程」を意味する名称は、いかにも本誌の性格にふさわしい。決まった後で(はじめに無記名用紙で各自の思いつきを出し合ったから、これが先生の案と分かったのは後のはずだが、その辺の正確な経緯は失念した)、先生にはその名にいささかの思い入れがあったことも明かされた。ご自身が学生の頃「意地ずくめで4号まで出して、力尽きた」哲学同人誌『道程』の存在である。われわれの雑誌(METHODOS) は、同じく哲学に対する先生の熱意を共有している点では、『道程』(HODOS)を「後継する」(META)ものでもあったのだ。
 「どうせ出すのなら活版印刷で行こう」と言われたのも、かつての「意地ずくめ」をもう一度貫徹しようとの意気込みあってのことだったかもしれない。先生の手許に1セットだけ残された4冊の『道程』は、すべて1951年(昭和26年)刊。どのページも黄ばんで表紙も取れかかっているが、まぎれもなく活版で刷られている。終戦から6年目という時期の学生同人誌としては異例のことだろう。1年に4冊という集密力にも驚嘆させられる。当時はまだ用紙の調達さえ侭ならなかったはずである。
 『古代哲学研究(METHODOS)』創刊の頃も、印刷経費はなお大きな難題だった。今と違って、まだ一本ずつ手で活字を拾って組んでいた時代である。懇意の印刷屋さんに頼み込んでも、何しろギリシア語まじりの難物であるから、そうそう安価には上らなかった。第1号48ページは600部刷って、17、8万円だった。現在の価格に換算すると、10倍くらいの額になるはずである。田中美知太郎先生や研究室の先輩諸氏からも「特別会費」という多額のカンパをいただいたが、先生個人の負担は数万円に及んだ。
 蛇足ついでに記す。その夏休み、印刷見本か何かのことで研究室にうかがうと、先生は上半身裸になって、たしかステテコ姿のまま原稿を書いていた。『藤澤令夫著作集』の年譜に照らし合わせてみると、岩波の「講座・哲学」への寄稿だったのだろう。当時はまだエアコンなどというものは備え付けられていなかったから、屋上直下四階の部屋の温度は40度を越えていたにちがいない。「汗水流して書いてる原稿だよ」と笑っていた。書かれたものも講義の様子も、そして日常の挙措や風貌も、よろずに端正をきわめた先生だが、ときにこういうバンカラ風の交じるところがまた別の魅力だった。後年に至っても、コンパの席での先生の放歌高吟(主に寮歌、それから軍歌を少々)に太刀打ちできる学生は、ついに現れなかった。
 その年の11月に第1号が出て、2学期の終りに文学部東館四階の会議室(当時)で合評会があった。それから3カ月も経たない2月25日、同じ部屋で開かれていた教授会の席に、色とりどりのヘルメット姿をまじえた100人ほどの学生がなだれ込んで、そのまま3日間ぶっとおしの「大衆団交」に突入した。以来、文学部でも半年以上にわたり「封鎖」状態がつづき、解除後もさまざまな軋轢が尾を引いていた。さいわい、藤澤研究室は荒れすさんだ状態に陥ることはなかったが、しかしその頃、迷いをかかえたまま社会へ出ていく道を選んだ人たちも多かったことは否定できそうにない。必ずしも「闘争」の翳を引きずってのことばかりではなかったにせよ、さきに「明窓」の二階に集まった「教室の一同22名」のうちにいて、あの動乱期の後まで残った学生は、わずか数名だったのではないか。去っていったメンバーの中には、先生が期待をかけていた人たちも多かったはずである。先生のその後の学生への接し方が少しずつやさしさを増していったのには、そんなことも影響していたのかもしれない。
 とはいえ、先生の輿望を担うに足る新しい学生たちも、次々と入ってきた。教室がさらに充実した活況を取り戻すまでに、さほどの年月は要しなかった。25年余にわたる藤澤研究室の歩みは、けっして先生を失望させるものではなかった、と信じている。

HODOS とMETHODOS
−藤澤令夫先生を偲んで−


内山勝利

第36号・2004年

  1. 1.枚数は400字詰横書き原稿用紙で論文は40枚以内(厳守)、研究ノート等は10枚程度。書評は15枚程度。原稿は可能なかぎり電子データ(フロッピーなど)でハードコピーとともに提出してください。

  2. 2.欧文要旨は400語程度で作成してください。

  3. 3.引用欧文は必ずタイプして下さい。但し、ギリシア語を手書きする場合には、気息記号・アクセントなどを含めてできるだけ正確に読みやすく書いて下さい。

  4. 4.本学会員の内で、次号への投稿希望者は2011年9月末までに編集部へその旨ご連絡下さい。原稿の締切は、2012年1月13日(必着)。古代哲学会編集部宛にお送り下さい。採否は編集部で決定し、原稿はお返しできません。

  5. 5.採否の決定は、編集委員および編集委員が選任委嘱する審査委員若干名によって行います。

投稿要領

入会案内

  1. 1.『古代哲学研究』定期購読料は年間2000円です。
    会員は『古代哲学研究』に執筆する資格を持ちます。また、その他本会にて開催する研究発表会、講演会等の案内状をお送りします。定期購読のみを希望される方は上の区分で定期購読の項目を囲んでください。定期購読料の納入は、『古代哲学研究』を郵送する際に用紙を同封しますので郵便振込をご利用ください。

  2. 2.ODは一般会員ではなく、院生会員として扱います。年間会費の額が異なるだけで会員としての資格に違いはありません。


連絡先: 〒606-8501
     京都市左京区吉田本町
     京都大学文学部 西洋古代哲学史研究室内
     古代哲学会
     電話 075-753-2733

               Eメール methodos※bun.kyoto-u.ac.jp (※を@に変えて下さい)

古代哲学会


□入会申込  □住所変更届

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フリガナ
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              院生( □MC □DC □OD )

             □教員


区分:□定期購読(2,000円)
    会員 □学部生(2,000円)

       □院生(3,000円)

       □一般(4,000円)

       □夫婦会員(10,000円)


海外論文紹介への協力:□はい □いいえ

入会申込書

入会をご希望の方は、お手数ですが以下の書式をプリントアウトし、必要事項をご記入の上、上記の住所まで郵送してください。

なお、Eメールでの受付は致しておりません。


以下の書式のPDFをこちらにご用意しました。

最新情報

2013年 7月 27日   平成25年度古代哲学会の談話会を下記の要領で開催いたします。

           『古代哲学研究』XLV号掲載の論文発表、および会計報告を行い

           ました。


           日時:7月27日(土)午後1時30分より

           場所:京都大学文学部新館第1講義室(京都市左京区吉田本町)

『古代哲学研究 METHODOS』の目次はこちらをご覧ください。

Contents of Methodos are here.